■注目されるアーモンドの栄養の医学特性 Vol.2
減量や結腸癌・心疾患予防にアーモンドなどナッツ類が有効
〜アメリカの研究報告より〜


 今回は1999年の米国連邦実験生協会の年次学会等で発表されたアーモンドやナッツに関する最新の 研究データをご紹介します。
 アーモンドを取り入れた食餌療法が、結腸癌や心疾患の予防に大変優れていること、また、ダイエット やリバウンド防止に効果的に役立つことが発表されています。今回の研究データは、従来の「ナッツの健 康的なイメージ」を科学的に裏付けるものであり、米国では生物学者のみならず医療系メディアなどから も注目を集めています。

アーモンドを使用した結腸癌の予防

結腸癌の抑制作用が一番強いのは丸粒アーモンド
 カリフォルニア大学デイビス校、栄養・内服薬研究部らは、50匹の実験用マウスに結腸癌を誘発する科学 物質を投与し、結腸癌に悪影響を与える高脂肪食を導入した上で抑制作用の高い食餌療法5種類を26週間継 続して与えたところ、結腸癌の抑制作用が一番強く示されたのは丸粒アーモンドの食餌療法であったと発 表した。
 今回起用された食餌療法は、丸粒アーモンド食、小麦ふすま食、セルロース食、アーモンドオイル食、 アーモンド料理など5種類(摂取分量は後述の通り)で、結腸癌先駆細胞の発生を一番強く阻害した療法は 丸粒アーモンド食であった。
 また、次位はアーモンドオイル、3位アーモンド料理、4位小麦ふすま、最下位にセルロース。実験当初 一番効果が期待された小麦ふすまに比べ、丸粒アーモンド食では結腸癌先駆細胞が33%減少しており、最 下位のセルロースと比較すると40%の差が見られた。
 主任研究員のポール・デービス博士(Paul Davis, PhD)は「結腸癌は栄養関連の疾患と考えられ、野菜 や食物繊維の少ない高脂肪食の摂取により悪化する。我々は、丸粒アーモンドには植物性タンパク質、オ レイン酸、食物繊維、ファイトケミカルなど複数の天然栄養素が複雑に組み合わさっている事が結腸癌に 対する高い保護作用を持つという仮説を立てた」と述べた。

結腸癌先駆細胞発生阻害実験食品順位
1. 丸粒アーモンド
2. アーモンドオイル
3. アーモンド料理
4. 小麦ふすま
5. セルロース

各食餌療法摂取量
1. セルロース食 − 体重の8%摂取
2. 小麦ふすま食 −体重の8%摂取
3. 丸粒アーモンド食 −総食事量1キロあたり丸粒アーモンド190gを摂取
4. アーモンドオイル食 −総食事量1キロあたりアーモンドオイル100gを摂取
5. アーモンド料理 −総食事量1キロあたり154gのアーモンドを取り入れた料理を摂取

コレステロール低下による心疾患予防

アーモンドが冠動脈性心疾患のリスクを低下させ、再発リスクを押さえる

 米国連邦実験生物年次学会では「飽和脂肪を押さえた低飽和脂肪食ダイエットをした上でアーモンドな どナッツ類を定期摂取すると、血中コレステロール値を低下させる有益な作用を及ぼし、かつ心疾患系の 病気を予防する働きがある」というデータを伝えた様々な研究結果が報告された。以下の2つの実験は、 アーモンドが心疾患のリスクをいかに低下し、冠動脈性心疾患の再発リスクを押さえたかを伝える実験例 である。

実験1

 カリフォルニア大学デイビス校のデービス博士率いる研究グループらは、丸粒アーモンドとアーモンド オイルの長期摂取が心疾患の因子にどのような影響を与えるかという比較実験を行なった。
研究では男女の被験者を丸粒アーモンドとアーモンドオイルグループに分け、一日の摂取脂肪量の50パー セントを丸粒アーモンド(平均66g)とアーモンドオイル(平均34g)でそれぞれ補わせ、合計平均2,121カ ロリーの摂取を6週間行なったところ、両グループとも「悪玉」コレステロール(低密度リポ蛋白質: LDL)値の低下が見られたが、「善玉」コレステロール(高密度リポ蛋白質:HDL)値に変化は現れなかっ た。また「悪玉」コレステロールの減少量はアーモンドグループで11%、オイルグループでは12%であっ た。
 以上の結果に対しデービス博士は「丸粒アーモンドとアーモンドオイルグループともに血中脂質パラ メーターに全く差が見られなかった事から、アーモンドのコレステロール低下作用は、オレイン酸などの 脂質関連化合物を含むアーモンド中の脂肪成分によるものであると思われる」と述べた。

実験2

 ハーバード大学公衆衛生学校の研究者らは、心臓発作を経験した21歳から75歳の男女4,000人(男性 86%、女性14%)を対象に、再発性の冠動脈性心疾患のリスクについて研究を行なったところ、週2回以上 ナッツ摂取した被験者は、ナッツを全く食べなかった被験者と比較して再発リスクが25%低下したと報告 した。
 食餌療法の対象となった食品はナッツの他、果実、野菜、穀物などであったが、ナッツを約4年間継続し て食した被験者(一回に約28g)と同様のリスク低下をあらわした被験者グループはブロッコリー、キャベ ツ、その他アブラナ科の野菜を摂取したグループのみであった。このことから、食物繊維、ビタミン類、 葉酸、α−リノレイン酸などの各栄養素を単に多く摂取しても再発性心疾患リスク低下にあまり効果が期 待できないという結果が打ち出された。
 研究員のブラウン博士は「栄養素それぞれの持つ効果作用自体は小さくても、それら栄養素が他の栄養 素と組み合わされた時に生まれる相互作用は冠動脈性心疾患などを予防する上では大変重要であるかもし れない」と指摘した。したがってアーモンドの様に様々な栄養素がバランス良く含まれた食品が優れた心 臓疾患を予防するに役立つ食べ物であるといえる。

ナッツ食事療法による減量効果

減量効果が高くリバウンドのないナッツダイエット

 ハーバード大学研究リサーチグループらは、18〜70歳の男女を対象にアーモンドなどナッツ類やオリー ブオイルを取り入れた低カロリーダイエットを導入させたところ、被験者に効果的な体重減量が見られた だけでなく、実験後のリバウンドも全く確認されなかったと発表した。
 実験では標準体重をオーバーした肥満体型者計101名を高脂肪食グループ、低脂肪食グループに分別し (高脂肪食グループ50名、低脂肪食グループ51名)、12ヶ月間にわたり低カロリーダイエットを続けさせ たところ、両グループ共に平均約4.5キロ(10ポンド)の減少が見られたが、ナッツ+オリーブオイルを摂 取した高脂肪食グループには食餌療法以後6ヶ月間を経過してもリバウンドは確認されなかっただけでな く、血圧の低下も認められた。これに対して低脂肪食群は実験後は体重のリバウンドが確認された他、血 圧が下がるなどの相乗効果は見られなかった。
 主任研究員のマクマナス博士(Kathy McManus, MS, RD)は「体重を減少させるようなダイエットにおい ても、脂質をはじめとするビタミン群、ミネラル、また、近年第7の栄養素として注目を浴びているファイ トケミカルなどの栄養素をバランス良く摂取することは必須であり、総カロリーの管理さえしていれば、 オレイン酸の様にヘルシーな脂質は体重増加を抑えるばかりでなく、健康を維持する上でも大変重要であ る」と指摘した。

<米国連邦実験生物協会>
 同協会は生物医学や生命科学者の向上を目指し、1912年に設立されました。同協会により開催される実験 生物年次学会は、通常パブリック化されにくい第一線研究者達の研究内容が発表されるなど、各界のみな らず米国医療業界メディアからも高い関心を集める権威ある年次会議です。また、同学会は生物学関係の 主要な学会の連合である米国実験生物学会連合(The Federation of American Societies for Experimental Biology)から財政的援助を受けて開催されます。上記の発表は1999年の年次学会で発 表された研究発表の抜粋です。

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